かなりのハードワークとなった、超育成塾の最終回は、成果が出せるNPOになり、社会を変えるためのファンドレイジングの手法を学びました。
午後からは、特別ゲストFAAVO下関の地域オーナー林陽一郎氏から「クラウドファンディングの活用と成功ノウハウ」についてのお話しも伺いました。
■ファンドレイジング
○ファンドレイジングは、資金調達が目的ではなく、社会を変えるためのものと位置づける
○ファンドレイジングサイクル
プラン・戦略を立てる→ファンドレイジングの実行、実績の記録→実績を振り返って良かった点、改善すべき点を整理→プラン戦略の改善→
○ファンドレイジング戦略
プラン・戦略を立てることで見通しがもって進んでいくことができる。
人件費の必要性、安定した財源確保にむけての改善が行える。
○資金ニーズにあわせて説明
きちんと積算
よそのNPOの事業も調べ、新たな事業を行う必要性があるかどうか
課題への根本治療も入っているか
支援者に具体的な内容をちゃんと伝えられるように
○ファンドレイジングポリシー
①継続性
少額でも継続的なものと、短期でも多額のファンドレイジングがよいか。
持続的な組織運営のためには、継続的なファンドレイジングがよい。
クラウドファンディングを毎年行うのは大変、スタートダッシュのためが効果的
②多様性
小口資金を多数から確保するか、大口資金を少数から確保するか。
小口資金は、一人の寄付者が欠けても全体の影響は少ないが、手間とコストは大きくなる。大口資金を少数から確保する方が管理する手間とコストは小さくて済むが一人の寄付者への依存度が高く、脆弱な財源構造になりがち。
○リサーチ
内部環境整理
・団体の目的・ミッション
・お金を集めてまでやりたいこと
・どのようなタイプの資金ニーズがあるか
・これまでどのようなファンドレイジングをしてきたか(何か成功?何が失敗?)
・今支援してくれている寄付者の特徴は何か
・支援者や寄付者の中でのキーパーソンは誰か
・すでに寄付をいただいている人の分析・分類(これまで寄付をいただいた方に「なぜ寄付をいただいたのか?」聞く)
・顧客データベースでの管理で中期にわたっての管理のしくみづくり
外部環境整理
・取り組もうとする社会課題の特徴
・同じ課題分野で地域で活動する団体はどのようなものがあるか
・他の団体はどのような活動をし、ファンドレイジングをしているか
・潜在的な寄付者はどの程度いるか
・潜在的な寄付者の特徴(どのような社会課題に関心をもっているのか等)
・対象とする個人の属性を絞る(年代、環境、知り合いにどんな人がいるなど)
・ステークホルダーピラミッド別に人材整理していく
レクチャーを受けた後は、
○ファンドレイジング戦略ワーク
再度団体の目的・ミッションを整理し、お金を集めてまでもやりたいこと、社会課題の特徴、同じ課題分野、同じ地域で活動する団体などをまとめ、具体的なターゲット候補、目標金額、それぞれのファンドレイジング手法をシミュレーションしました。
○クラウドファンディングワーク
宿題になっていたプロジェクト詳細の後に続く、寄付金額別とリターンの内容を整理し、対価性がなくても、寄付者が喜ぶ商品のアイディアがたくさん出てきました。
■クラウドファンディングの活用と成功ノウハウ
本日は特別ゲストとして、FAAVO下関の地域オーナーとして80%の達成率を誇る林陽一郎氏((株)ルナー代表取締役・NPO法人皆繋代表)から、クラウドファンディグで地域を活性化するストーリー、100以上、総額330億もあるクラウドファンディングサイトの紹介と抜粋サイトの成功率などの詳しい情報を伺い、成功するためのノウハウを教えていただきました。
○クラウドファンディングとは
Crowd(群衆)+ Funding(資金調達)
アイディアを実現するために必要な創作費用を、そのアイディアに共感した友達・ファン・ソーシャルメディアのつながり、そして世界中の人々から少額ずつ集める行為。
インターネットを通じて少額からの資金提供を呼びかけ、一定額が集まった時点でプロジェクトを実行することで、資金調達のリスクを低減することが可能。
○成功アドバイスのポイント
①エントリーするまでに、きちんとNPO塾でならった内容(ミッション、社会課題、解決方法が最適であること)を整理しておくことが大前提。
②第一印象が大事。
トップを写真と文字を入れて、全体像がわかるようにすると成功率が一気にあがる
ストーリーが誰でもイメージできるリード文が大きく影響
やりたいことではなく、なにを目的にしているかが伝わるように
③やる人が本気(マジ!)
④目標資金の30%以上を自己資金で調達できたプロジェクトは90%以上成功(海外サイトも含めた平均)
⑤動画のあるプロジェクトは20%上昇
⑥ラストインプレッション 魅力的リターン品の準備(楽しみにまってっくれると次の支援になる)
⑦その他
・SNSでしっかりとシェア
・レポートは4本以上書く、9本以上のレポートは成立に貢献
・募集期間 34~60日がよい 61日を上回ると逆に達成率が下がる(中だるみが長くなると支援者のモチベーションがさがる)
・最初の1週間で20%を目標に
○クラウドファンディングの意義
①プロモーション、ファンづくり
不特定多数へのファンづくりのためのプロモーション、活動を知ってもらうだけでもメリットがある
②テストマーケティング
この活動が社会課題解決方法で合っているかどうかを世に問う
自分たちのアイディアを不特定多数の人に見せるというリスクはあるがNPOにとっては少ないリスクなので一度ためしてみてほしい。
○FAAVO山口のめざすもの
・地域をどう盛り上げるかが大切(地域の事業家として)
・地方で輝けるプラットホームをつくる
・雇用や仕事のできるしかけ
・地域のらしさ(人・もの・こと)を誰もが楽しめるように
情報共有→体験→移住のサイクルをつくる
久津摩講師の調整で急きょ、講義を引き受けてくださった林さん。とってもわかりやすく、クラウドファンディングを話していただき、「ちょっとエントリーしてみようかな?」と思うくらい敷居をぐ~んと下げて頂きました。
これまで学んだファンドレイジングのノウハウを、クラウドファンディングにエントリーしてみるということをイメージして集大成となりました。
これまで、目前の事業に追われて、「社会を変える!」という夢はあっても、実現レベルの構想までに落とし込めていなかった参加団体。講師の「なんのために?」「社会課題を誰とも共有できる形で示して!」「社会課題を解決するためにそれが最高の事業内容?」などの質問にしっかりと応えてきてくれました。
クラウドファンディングにエントリーしていくためには、団体内部の共有や、組織力も問われ実現までには時間がかかるかもしれませんが、今後の財源確保の大きな可能性を関したセミナーとなりました。
「社会を変えるために本気(マジ)になる!」そんな団体をこれからも、寄り添いながら応援していきたいと思います。(わたなべ)
クラウドファンディングにエントリーした
認定NPO法人支えてねットワークのサイトはこちら
これまでの様子はこちらから
*オープニングセミナー
*実践型ワーク
①社会課題の把握&ミッション編
Part1
Part2
②事業企画づくり編
Part1
Part2