寄附でつながるプロジェクト第2回レポート

NPO寄附付き商品開発ワーク ~つながることから希望が育つ~
第2回:NPO基礎マネジメント~寄附付き商品づくり概要説明~
9月9日(月)13:30~16:00

講師:久津摩和弘さん(Community Fundraising Japan共同代表)

■概要
久津摩さんの自己紹介から始まり、「企業が寄付する動機」「コーズ・リレーティッド・マーケティングとは?」「寄附付き企画をつくる「10のポイント」」と説明がありました。寄附付き商品は、企業が慈善事業として行うCSR1.0ではなく企業も利益につながるCSR3.0。ネット等掲載は禁止で配布資料にない最新の県内外の寄附付き商品企画ネタが満載でした。

■詳細
◇久津摩さん自己紹介から。
山口県社会福祉協議会に入社後で日常生活自立支援事業や法人成年後見支援など福祉の現場を担当。海外のファンドレイザーの講演を聞いたり書籍をとりよせたりと個人で非営利組織の資金調達について調査研究。2011年に山口県共同募金会に出向になり2012年に赤い羽根共同募金の「募金百貨店プロジェクト」を開始。地域福祉ファンドレイジング・ネットワーク共同代表。

◇企業が寄付する動機
<CSR3.0 企業の社会貢献が利益に結びつく>
CSR1.0(慈善)・・・企業による施しや支援(企業には赤字)。
CSR2.0(本業を通じたCSR)…自社の特徴をいかして社会の役に立つ(企業には赤字)。
CSR3.0(本業とCSRの統合)…企業が儲かるCSR。商品が出れば出るほど利益につながる

☆非営利の活動=人を巻き込むのに優れたツール=社会運動・購買運動につながる

◇コーズ・リレーティッド・マーケティングとは?
<コーズ・リレーティッド・マーケティング>
企業とNPOなどの団体がパートナーを組み、社会課題のために企業のマーケティングを活用する仕組み。企業が製品の売り上げに応じてNPO等に寄付を行う。
企業の利点:製品を買うことで消費者は社会問題の解決に貢献できるといPRできる。
NPO等の利点:活動資金の獲得。団体の活動をたくさんの人に知ってもらう機会になる。

<事例>
事例1)1L for 10L(ボルビックの水1Lを買うとアフリカに水10Lの支援ができる)
ボルビックが売り上げの一部をユニセフに寄付。ユニセフがアフリカに井戸を新設&10年間メンテナンス。
事例2)アサヒビール株式会社「うまい!を明日へ!プロジェクト」
アサヒスーパードライ対象商品1本につき1円を、自然や環境、文化財などの保護・保全活動に役立てる。山口県内で販売された商品からの寄付は、公益財団法人山口きらめき財団を通じて県内の各団体に助成されている。平成25年5月2日に第6弾として、1,983,471円が公益財団法人山口きらめき財団に寄付されている。

<一般生活者の「社会貢献意識調査」>
東日本大震災以降、社会的課題に関心が以前よりも高くなっている人は6割以上。20代女性、専業主婦、会社経営・役員では7割以上。
特別な事を行っていない商品の魅力を50とすると、キャンペーン(プレゼント等)を行っている商品の魅力は65.0.寄附付き商品など社会性をもった商品の魅力は63.5。キャンペーンを行い社会性をもった商品の魅力は72.6。寄附付きにすることで商品の魅力度UP。

<赤い羽根共同募金「募金百貨店プロジェクト」>
平成24年4月からプロジェクト開始。現在46社と覚書締結。新聞掲載約120回。テレビ放送約30回。すでに全国10以上の都道府県で展開。予算がないので口コミと取材だけで参加企業を広げている。興味を持つのは口コミで聞いた企業で、新聞やテレビを見て連絡があったのは3件程度。企業にとっての寄附付き商品の良さは実際に話を聞かないと分からない。しかし話を聞いた企業の9割以上がうちでも寄附付き商品をつくりたいと言ってくる。

◇寄附付き企画をつくる「10のポイント」
1・企業にとってよい企画を提案する“社会貢献コンサルタント”になろう
企業は自社でどんな企画をしたらよいかわからない。NPOスタッフ(理事)は地元の社会課題に精通しているから、その分野の“社会貢献コンサルタント”になれる。
NPOのミッションの重さが企業の人に重い。寄附付き商品にミッションの重さを持ち込まないように。
2・儲かる、販促・新規顧客の獲得につながる企画にしよう
「寄附付き商品」ということで立ち止まる=商品に気がつくきっかけに。新商品や特に知ってほしいものが寄附付き商品に向いている。1回食べたらリピーターになる商品を寄附付き商品にして1回食べてみよう!と思わせる。
3・社会課題が解決されるソーシャルビジネスにつなげよう
社会課題を企業の専門性で解決できないか考えてみよう。
事例1)福祉の困りごと=保証人がいなくて入れない⇒福祉業界の関係者なら保証人がなくてもはいれるように
不動産会社にも入居したことによるトラブルは福祉関係者に相談できるメリットがあり。
事例2)ごみを出したら出すほど寄附
自宅の前にシールを張っておいておけばとりに来てくれるサービス。高齢者や障害者がゴミステーションまでゴミ出しできない問題を解決。
※大手ではできない地域密着
4・話題性のある企画作りでしっかり広報につなげよう
マスメディアは新しいこと&社会に役に立つことが大好き!取材に来てもらいやすい。記者配布の際は新聞記事の見出しのようなタイトル(日本初、山口県初、山口市初、業界初など)になるようにする。企業にとっては「寄附付き商品」ということで広告費0でいろいろなメディアに露出できる。
5・両社にとって無理のない企画にしよう
寄附付きのために新商品開発すると在庫の恐れがる。注文が0でも赤字リスクないかたち、既存商品を寄附付き商品にするのがよい。でも寄付金が高すぎると値引きしてといわれる、低すぎると寄附付き商品の魅力が少ない。価格設定は大事。
全部寄附付きにすると赤字になることもある。キーワード式など全部ではなく一部を寄附付き商品にしよう。
非営利団体の職員と企業は目的も時間の流れも違う。非営利団体側が動かないと
できない企画は向かない。企業が自己完結できる仕組みのほうがいい。
6・参加企業が増えるほど相乗効果がでる「百貨店型CRM」にしよう
7・人を巻き込み購買運動を起こせる企画を作ろう
8・顧客も関係者も楽しい、ワクワクする企画を作ろう!
企画は企業主体のプロジェクト。でも企業が自社で考えた寄附付き商品は魅力が少ないことが多い。NPOが一緒に企画を考えよう。
事例)・10キロカロリー1円 ・ひとぬり1円 ・名刺1回交換で1円 など
9・ストーリーをつくって、魂を入れよう
CSR部門よりマーケティング部門にはなしを持って行こう。
寄附だから買ってね!の企画だと消費者は買わない。購買側の目線を非営利団体が代わりに伝えいっしょにストーリーを考えよう。
10・顧客に感謝&報告し、リピート率&契約継続率アップしよう
「どうせ同じサービスなら寄附付きにしようかな」という意識が働くので差別化が難しいく契約更新などがある商品・顧客の囲い込みに寄附付き商品に向いている。

■次回は9月25日
次回は1団体10分回程度の団体のプレゼン。
仕出し屋、ペットショップ、魚屋、肉屋、化粧品屋、布団屋、不動産、スーパー、居酒屋、食堂、焼き肉屋、着物レンタル、旅行代理店、ペンキ屋、カラオケ、文具メーカー、飲料メーカー、など様々な事例がありました。
それらを参考に、団体のネットワークを洗い出し、ターゲットを絞って「寄附付き商品を自分たちと作ってください」という内容のプレゼンを準備してきて欲しいとのこと。

■中村伸一さんから前回の宿題に対するアドバイス
・ターゲットを絞ろう
・一緒に作りたい人へのメッセージをいれよう
・ファンドレイジングサイクルで前回の宿題をいかそう
・理念がかたすぎるので、もっと一般向けにやわらかく、伝わりやすくしよう
・キャッチフレーズを重視しよう
・計画書をかみ砕いてプレゼン用にしよう
・寄付額で弱点が補強できたかみてみよう

■参加
認定NPO法人こどもステーション山口
NPO法人あっと
NPO法人支えてねットワーク
講師1名、参加団体から8名、傍聴2名、スタッフ3名 計14名

■参考
第1回目の講座レポートはこちら
次回は団体プレゼン。最近2年の調査でも山口県は全国トップレベルの寄付文化がある県とのこと。事例を元に各団体からどんな企画があがってくるか楽しみです。
<ちぢまつ>

センター長によるはじまりのあいさつの様子です。
センター長よりはじまりのあいさつ
久津摩さんによるスライドを使った講座の様子。
久津摩さんの講座の様子
休憩時間に作戦会議を立てています。
休憩時間に作戦会議
久津摩さんにたくさんの事例を発表していただきました。
久津摩さんによるたくさんの事例発表
講座修了予定時刻を50分過ぎても残って真剣に話をする参加者です。
講座修了予定時刻を50分過ぎてもまだまだ!