明日から始められる!ファンドレイジング実践セミナー受講レポート

2月9日(土)パルトピアで行われた山口県主催の学習会
2012年度 山口県寄付募集促進事業
『明日から始められる!「ファンドレイジング」実践セミナー』を受講してきました。

講師は特定非営利活動法人シーズ・市民活動を支える制度をつくる会の鈴木歩さんです。鈴木さんは、NPO法のない時代の苦労を経験され、より充実した活動をするためにNPOに法人格を、寄付を集めやすい制度をと2011年NPO法が施行されるまでに、8回の改正に携わってこられたお一人です。
また、ファンドレイジングの本場アメリカに渡り、現地でファンドレイザーとしても活躍され、その当時の苦い経験なども楽しくお話していただきました。

今回、参加者全員に講師編著のファンドレイジングマニアルが配布され、テキストに沿って講義いただきました。

まずはファンドレイジングに関するよくある疑問

1. ファンドレイジングとは・・・・
 直訳するとファンド(Fund)=お金を、レイズ(Raise)=集める、募るですが、ここで大事なのはファンドレイジングの本当の意味です。
これを見誤ると、絶対にファンドレイジングを成功させることはできないといっても過言ではないでしょう。
ファンドレイジングが目指すものは、単なる「お金集め」ではありません。
NPOの活動は、周りを巻き込み、協力者や仲間を増やしていくことが欠かせません。その「巻き込み」の方法の一つがファンドレイジングなのです。
また別のファンドレイジング講座を受講した際、ある講師は「ファン」を集めることこそがファンドレイジングだとおっしゃいました。

2.寄付をお願いするのは、とっても気が引けるんです。

寄付は「助けてもらうこと」ではありません。
 
寄付を「自分のためにお金を出して頼むこと」「負担をしいること」のように思うと気が引けるものですが、寄付は寄付者に「参加の機会」を提供することだと考えてみましょう。
それには、達成したいミッションを明確に寄付者に理解してもらい、ともにミッション達成を目指す、もしくは達成への期待を寄せられるパートナーになってもらう努力が欠かせません。またミッションへの取り組みや成果を共有することも大事なことです。
先日の助成金講座で見えた、助成団体の思いとも重なります。ただお金を出しただけでは、寄付者には何も残りません。

3. 非営利って、お金もらってもいいんですか?

もちろんです!非営利だって経費はかかります!
経費がなければ活動できません!
講師が声を大にしていましたので間違いありません。
人件費もコストです!コストにお金がかかるのは当然です。
むしろ、お金をかけなければいい人材を獲得することも育てることもできません。
ご存知のとおり、非営利とは利益を分配しないという意味であってコストにお金をかけない、利益を出さないというということではありません。

4. 会員になってもらったら、特典をつけるべき??

会員には大きく3つの種類に分けられ、それぞれ会委員の期待が異なります。それぞれが期待することを明確にして会委員集めに臨みましょう。
丸1 正会員→議決権
丸2 寄付者→成 果
丸3 受益者→メリット
成果を期待する寄付者に、その目的以外のもの(特典等)をお返しするのは、かえって失礼なことかもしれませんね。

5. ファンドレイジングをうまくやる方法はなんですか?
ファンドレイジングの黄金ルール。
それは「お願い」することと、「お礼・報告」です。
寄付した方の多くが、その理由を「お願いされたから」と答えたというアンケート結果にも伺えるように、寄付はやみくもに「募集」するより、「お願い」がかなり効果的です。
上手な「お願い」ほど効果があります。
なんのための寄付であるのか、その寄付があればどんなことが解決できる、または発展する、あといくらあれば~できる、~円からでいいので、など具体的な情報を添える。理事や職員が手書きで一筆添える、個別に電話する、直接会うなどの工夫も必要です。
寄付を継続してもらう、ファンになってもらうためには「寄付してよかった」と思われることが大事です。
そこで大切なのは、「お礼と報告」です。講師は次の寄付のお願いまでに、お礼は「7回」言ってちょうどいい。と言われていました。もちろんそれ以上でも。お礼を言われて怒る人はいません。
電話で、ニュースレターで、HPで、お手紙で、直に、イベントの際に・・・お礼が言える場面はいくらでもあります。
お礼と報告でNPOができることは、「あなたのおかげで成功できた。あなたは大切な人」と支援者が実感できるように伝えること。それが参加しているとう実感を与えます。
参加・貢献体験の満足度が高ければ高いほど、その寄付者はまた「寄付したい」と思ってくれるでしょう。

6. 認定NPO法人になるとファンドレイジングしやすいですか?

 もちろんです!そのための認定だと言っても過言ではないです!
同じ額寄付するなら、認定を選ぶのが人の心理というもの。税制優遇が受けられるのであれば、「お願い」もしやすいですしね。
法改正後、認定NPO法人になる要件は大幅に緩和されています。

講座の数日前(25年2月6日)に県内初の認定NPO法人を取得したこどもステーション山口さんが会場におられ、認定取得までのお話を伺うことができました。 

こどもステーションさんは絶対値基準(100人×3000円(2事業年度平均))の寄付者を得て認定NPO法人となられました。
過去会員だった人・友人・知人・親戚・劇団関係者・取引先会社等に300通の寄付のお願い文書と認定NPO法人の説明文・団体リーフレットに手数料団体負担の振込用紙を同封して送ったそうです。そのうち70~80人が寄付に応じてくれたそうです。他には、会う人会う人に「お願い」をしたそうです。「年に3000円なら」と快く寄付に応じてくれた人もいたとのこと。みなさんが一眼となって認定を目指していたのが伝わってきたのと、県内初ということで会場が拍手で湧いたのは言うまでもありません!
講師の「お礼7回」を聞き、これから実行していきます!とこどもステーションさんが言われていました。まさに「明日から実践できるファンドレイジング」。
また、こどもステーションさんは「寄付をお願いすることで、沢山の方に団体の事を知ってもらう機会となり、以前会員だった方とのつながりが再度できるようになりました。」と認定を目指したことで得た寄付以外のことにも喜んでいらっしゃいました。
講師が冒頭で言われた「ファンドレイジングは単なるお金集めではない」ことを既にご存知だったのですね。
こどもステーションさんに続いて、認定をめざす団体さんが増えて寄付文化が根付くと山口はもっと元気になるでしょうね。

<スタッフ おだ>