令和3年度さぽカフェ(円卓会議)~地域猫・保護猫編~第1回(8/13)レポート

さぽらんてに寄せられる相談事のトップ3に入るのが、「猫問題」ということもあり、いつかはこのテーマで円卓会議がしたいと思っていました。昨年さぽらんてでの譲渡会が再開したことで、関係団体や譲渡会に参加している個人ボランティアさんなどとお話する機会が増えるなかで企画への思いが再燃、今回実現の運びとなりました。

ご参加くださったのは
・肉球生活向上委員会WithWan
・かぎしっぽの会
・山大にゃんこ大作戦
・さくら猫やまぐち
・HappyHelperいぬたま
の5団体と市環境衛生課、市協働推進課、中野市議。

活動に差し支えるため、団体関係者名は伏せています。

コロナ感染症拡大防止のため昨年に引き続いて今回も参加者数をしぼり、距離をとれるよう円卓は使いませんでしたが、円卓のようにまあるく話せる場づくりを意識して進行。

まずはひとりずつ軽く自己紹介。
動物愛護団体は相談対応や捕獲器の貸し出しなど日々活動に追われて忙しいため、団体同士の交流は皆無に近い状態。はじましての方が多かったですが、それでも個人的な活動で実はつながりがあったりと、意外な関係性を垣間見ることもできました。

次に、団体ごとに現在の活動状況と活動のなかで課題に感じていることについて話してもらいました。その一部を、解説を交えてご紹介します。

『相談者の8割がなんとかしてもらいたいばかりで自分で動く気がない』問題
さぽらんてに登録している動物愛護団体は、基本保護はしていません。TNRの進め方について相談に乗ったり、譲渡会を開いたり、捕獲器を貸したり捕獲のお手伝いをしたりをしています。 それでもなにかと理由をつけて、保護や捕獲からお願いしようとする案件も多く、お断りすると逆切れされることもあるとは聞いていました。理不尽な思いをしながらもボランティアで相談対応し、できることはしようと努力を続けていらっしゃる団体のみなさん。頭がさがる思いです。

『TNRがなかなかすすまない』問題
TNRとは、Trap・Neuter・Return(トラップ・ニューター・リターン)を略した言葉で、捕獲器などで野良猫を捕獲(Trap)し、不妊・去勢手術(Neuter)を行い、元の場所に戻す(Return)ことを言います。TNRがすすまない理由としては
1.捕獲予定日に対象猫が捕獲器に入らないこともある
2.対象猫が明確に野良猫と分からないことがある
特に問題なのは2。背景には、無責任なえさやりさんや不妊去勢せず外飼いする飼い主の存在が。捕獲を迷っているうちにまた仔猫が生まれてしまうという負のループにもつながってしまっています。

『山口市の不妊去勢手術助成制度の申請方法がわかりづらい』問題
山口市では個人、団体、地域へ飼い主のいない猫の不妊去勢手術費の一部を助成(個人は通算2匹まで、団体は年間10匹まで、地域は頭数無制限)してくれる制度があります。団体が一般の方から相談を受けるなかでも、助成金申請にハードルを感じて、申請自体をあきらめる市民が多いそう。でも実は環境衛生課に申請書の書き方を直接相談すると、丁寧に書き方を指南してくれるため、まず申請が通らないということはないとのこと。制度そのものというより、まずは情報の出し方に改善の余地がありそうです。

一通り課題を共有できたところで、改めて地域猫・保護猫の課題解決に向けて必要なことについて、付箋にアイデアを書き出してもらい、それをグルーピングしたのがこちら。

いろいろ課題はありますが、やはりTNRの推進が最優先課題だという話に。
先進事例から最も効果的と思われるのは野良猫一斉TNR。なるべく短期集中でたくさんの猫にTNRを行う方法で、全国的にはすでにポピュラーな活動となっており、行政と財団が共催して行っているところも。
山口市でもふるさと納税等と連携して導入できたらいいのに、という話になりました。
また、えさやりや多頭飼育崩壊を起こす原因者となる人については、背景に孤立だったり精神疾患が潜んでいる可能性もあることから、福祉との連携したサポートも欠かせないことを再認識。

最後に、活用しづらいと言われている山口市飼い主のいない猫不妊・去勢手術費助成金制度の交付要綱を団体さんに読み込んでいただき、改善点をアドバイスしてもらいました。詳細は割愛しますが、予算、上限頭数、要綱の文言について、普段からTNRの現場で活動されている団体さんならではのご意見をいただくことができました。

2回めのさぽカフェでは、今回出された課題のなかから、『一斉TNR』と『市内のネットワークづくり』に焦点を絞って、さらなる話し合いを深めていきたいと思っています。

(さぽカフェ~地域猫・保護猫編~担当:川上)