1.市民活動=NPO(非営利組織)とは
NPO=Non Profit Organization(訳すと非営利組織)のNon Profit(非営利)とは、収益を出資者に配当(営利)しないで自分たちの目的事業に充当することです。Organization(組織)とは、グループや団体とは違い、規約に基づき指揮系統が明確で、役割分担ができていることを意味します。
ポイント:奉仕活動からボランティア活動NPO活動への変遷
阪神淡路大震災がおおきな契機となり、ボランティアがそれまでの奇特な活動と言われていたものから、身近な生活の問題を解決していく幅広い活動へと変化しました。
NPOを立ち上げることは誰でもできますが、それが落とし穴でもあります。ずさんな運営で事業の維持が困難になることも。
行政・企業に次いで、真に三本目の柱となるためにも、楽をせず、しっかり団体内で悩み、自立した組織づくりが必要です。
2.NPOとボランティアの違い
NPOもボランティアも、社会課題解決のために活動するという目的においては同じかもしれません。しかし、両者の決定的な違いは、NPOが“組織”であるのに対してボランティアは、“個人”であること。ボランティアは時間も場所も選ばない代わりにあまり大きなことはできません。一方NPOは、組織として多くの人が関わることにより、相乗効果で大きなイベントなども可能になるのです。
3.地域と公益性
地域の困りごとの解決を目的にした地域づくり協議会などの(地域)コミュニティは、地域性が強い代わりに公益性は弱い傾向にあります。一方、『子育て支援』など社会課題の解決を目的にしたNPOは、公益性は高くなる代わりに地域性は弱くなります。
(※「公益」⇒社会一般の利益。公共の利益)
4.NPOの課題
NPOが自主的な活動である以上、継続性などの問題もあります。種別にその課題をみていきましょう。
1) 一般的・慢性的な課題
一般の企業では「仕事」としてできることが、『想い』でしか支えがないのがNPOです。想いだけで活動を続けるには、モチベーションを継続させるなんらかが必要ですが、多くのNPOが目先の事業をこなすのに手いっぱいでボランティアやスタッフのフォローまで気が回らないのが現状です。『社会課題解決のために必要だから』、の言葉だけで人がついてくる時代ではもはやなくなっているのかもしれません。
団体の基盤
- 職員・スタッフ(担当者)
- 運営・活動資金
- 組織づくり(想いの共有)
事業企画・執行能力
- 事務能力
- 継続性
- 計画性
- リスクマネジメント
- 人材
その他
- 団体運営力
2) 資金の課題
委託事業はもたず活動継続のため独自に収益事業を行いながら活動するNPOを起業型、市などから委託を受けてその補助金・助成金で活動するNPOを依存型と分けることができます。市の委託を受けて活動するNPOの多くが依存型です。市の財政が年々厳しくなる一方であることを考えると、依存型のNPOもこれからは収益事業を有することを検討しなければいけない時期にきているのかもしれません。
類型 | メリット | デメリット |
---|---|---|
起業型NPO | ○ 誰の指図もなく、柔軟に事業展開が可能 | ○ 採算ベースに乗るかが不安 |
依存型NPO | ○ 採算度外視で、予算の範囲 内で事業実施が可能 | ○ 恒久的な補助はない… ○ 施策が変われば、吹けば飛ぶ… ○ 契約書外の事業ができないかも?(柔軟性が損なわれる) ○ お金をもらう責任(事務も含めて)がのしかかる |
※収入として、“寄付金”等を考えるけど…。
でも、そのためには、『情報発信』『営業力』『実績』『信頼性』『時間と手間』が必要なのよね。
3) 運営・組織の課題
任意団体かNPOかによって、組織の体制にはそれぞれメリット・デメリットがあります。
類型 | メリット | デメリット |
---|---|---|
みんなでNPO | ○ みんなで運営を考えることで、メンバーの温度差をなくすことができる | ○ 責任所在が不明瞭 ○ なかなか結論が出ない |
組織型NPO | ○ 責任体制が明確 ○ ある程度迅速に結論が出せる | ○ ボランティア感覚だとコマにされやすい(メンバーの温度差が出やすい) ○ リーダーがしっかりしないと崩壊することも… でも、リーダーがしっかりし過ぎると、後継者がいなくなることも… |
5.信頼されるNPOになるための3つの基本
NPOは社会課題を担う公共になり得る存在として期待されています。将来団体が活動の幅を広げる時に困らないためにも、最低限これだけはやっておきましょう。
6.会則の作りかた
団体を作るならまずは会則作りから!団体の活動目的、活動内容を共有・確認しながら会則を作りあげていく作業を通じ、組織がより強固になること間違いなしです。
1) 会則(規約)とは
団体の運営や活動の基本となる決まりです。これがないと活動ができないということはありませんが、さぽらんてに団体登録をする時、銀行で団体名義の口座を開設する時、補助金・助成金を申請する時、事業にかかわる保険に加入する時などにも必要です。
また、解決すべき社会課題やそのために活動していることを広く市民に発信し、信頼を獲得して寄付につなげていくためにも団体の目的や決まりを会則(規約)という目に見える形にしておくことは重要です。団体内での思わぬトラブルを回避するためにも作成をおすすめします。
2) 作成方法
会則は、全体の構成を決めてから細部を検討していくと合理的です。一般的に次のような項目が記載されています。
会則の一般的な項目
- 団体の名称
- 事務局(所)の所在地
特においていない場合は団体の代表や会計の自宅を事務所としても問題はありません。 - 団体の目的・事業
団体の使命(目的)を明確にします。どのような社会課題を解決する団体なのか、また目的を実現するためにどのような事業を行うかを示します。 - 会員
会員とは、活動に賛同し、会費を納めてくれる人のことです。正会員、賛助会員、団体会員などがあります。 - 会費
金額そのものを設定してしまうと、金額を変更する時に総会や臨時総会にはかって会則の修正を加えることになるため、“理事会で決める”など、金額の決め方を記載するのも手です。 - 役員
役員の種類、役割、人数、任期、選出方法などを明記します。 - 会議
総会や役員会などで話し合う事柄や意思決定の方法などを明記します。 - 会計
会計年度、会計報告、会計監査に係る事項を記載します。また、収支計算書や財産目録など、どのような種類の決算報告書を作成するかを定めます。会計監査と総会の承認を受ける旨も忘れず記載しましょう。 - 細則を定める根拠
会則に基づき詳細を定める場合は、その根拠となる条項を設けます。 - 付則
会則の施行日を定めます。