過酷な暑さの中、中間支援者向けの過酷な道場を7月23日・24日の2日間開催しました。
これまで経験したことのない、超高齢化社会を目前に向え、加えて水害や地震などの災害など、日本全体に不確実な時代が到来したように思います。そんな中、「地域社会を放っておけない」と動き始めている人たちもいます。一方、これまでの行政主体の自治の中、どのように市民・町民を主体に地域づくりを進めてよいのか悩む声も聞こえてきます。
市民パワーを確実に推進し、根付かせ、次世代に繋いでいくには、地域ごとの多様な立場の市民の活動を支援する中間支援者(県内中間支援センター、NPO、市町の社会福祉協議会、地域づくり協議会、中山間や地域づくり担当行政など)の伴走型の運営支援力がカギを握ると考えています。
そこで、市民を応援する立場の中間支援者が集まり、ソーシャルマネジメント道場を開催しました。
今回の参加者は、NPO、地域コミュニティ、市町の支援センター、財団、社協、行政と様々な立場の方20団体49名が、148ページの資料を学び、県民活動支援センターのスタッフ、さぽらんてのスタッフの寄り添いのもとに8つのテーマにわかれ実践ワークを行いました。
講師は、おなじみ周南市出身の長浜洋二氏(モジョコンサルティング合同会社)。
今回は中間支援者の生き残りをかけてという副題で、マネジメントを進めるための基本の型をしっかりと伝えてくださいました。
簡単にエッセンスをお伝えします。
今回のソーシャルマネジメント道場は、
①中間支援者がコンフォートゾーン(居心地の良い場)から抜け出す場
中間支援者は地域社会の転換を仕掛ける立場なのですから、いつも社会情勢に敏感で、行政等ではできない柔軟性や機動力を発揮できる体制が必要です。
②座学ではなく、実践による支援力の習得
テーマ型のNPOや地域づくりの人に対してしっかりと聞き、実態把握のフレームをまとめていくという作業の場が半分の時間を占めました。
③支援者サポーターによる伴走支援
支援実践が今回の道場のみで完結するわけではありません。今後も寄り添い希望者にはしっかりサポートをしていきます。
④「社会課題解決の計画書」を作成
最終的には、HP上で計画書を発信し、汎用性のあるものとして広く市民に活用していただけるとよいなと思っています。
実は、11月23日に山口県がパートナーシップ会議を開催します。県が県民と一緒にこれからの活力ある県を創るために、花博ボランティアなども巻き込んで大々的にアピールしようというものです。その中で今回参加してくださった皆様の「社会課題解決の計画書」をプレゼンして頂き、市民社会の到来を共にアピールしていただけたらと考えています。このパートナーシップ会議、現在県の担当課が県知事の参加を鋭意調整して下さっています。
今回の道場での「社会課題の計画書」とは
計画書に盛り込む項目としては、大きくわけると実態把握と事業開発があります。
【実態把握】
①実態データの収集と分析
市場規模、時系列推移、構成要素など今がどうなっているのか。今あるデータや新たなデータ収集(アンケート・ヒアリングなど)により背景を明確にする。新たな指標づくりの考え方などしっかり時間をとって教えて頂きました。
②問題構造の全体像分析
なぜそのような課題が起こったのかという根本的な問題の構造や背景を深堀して分析。
③ステークホルダー(利害関係者)分析
行政、住民、企業、学校、地域住民など①受益者②支援者③協働パートナー④競合⑤自組織などに分類し、誰に対してどんな働きかけをするのか整理
④社会環境(PEST)分析
政治、経済、社会、技術の動向を確認し、追い風、向かい風かどうかをチェックする。
【事業開発】
⑤ビジョンとミッションの策定
ビジョン:組織が目指す社会の状況や状態(新しい価値創造、社会課題解決などのパターンあり)
ミッション:ビジョンの実現に向けた組織の社会的な役割
⑥受益者(当事者)の絞り込み
対象者のイメージを明確にし、働きかけるべき人を絞る。
⑦事業と成果目標・指標の設定
実施した事業(活動)が、その目的を達成するに至るまでの流れを整理し、成果を明確にする。おなじみのロジックモデルです
⑧協働パートナーの選定と役割定義
課題解決の構造(予防、対処、根治、認知)の違うレベルも一緒に整理する。
⑨資金調達計画の策定
資金源として考えられる、事業収入、会費、寄付、助成金、委託金、融資などのそれぞれの特徴を知り、団体の成長に応じた資金計画を立てる
⑩組織人員体制の構築
組織のビジョン・ミッション達成に向けてのハード面(公式に定められている部分)とソフト面(絶えず変化する職員のモチベーションや人間関係、組織文化など)をどのような役割分担で進めるか。
⑪実施スケジュールの策定
ビジョン、ミッション達成に向けてのロードマップと、人員や肯定を管理するガントチャートの作成。
以上の骨格づくりを、今回の道場で目指し、8つのテーマに分かれて実践ワークをしました。
特に前半の実態把握がしっかりできていないと、事業開発が的を得ていないものになる可能性があります。また、スタッフや関係者の共感、共有もズレてくる恐れがあります。どんなに手間でもまずは実態把握をしっかりと行うことが基本となるようです。
今後、それぞれの「社会課題の計画書」が出来上がることをご期待ください。
ちなみに講師が示された 支援者に必要なメタスキルは
○好奇心
○本気度
○敬意
○パートナーシップ
○寄り添う姿勢 だそうです。
現在さぽらんてスタッフは、実態把握のための数値捜しの旅路です。
これからも、しっかりと伴走支援していきますので、ぜひお声かけください。
(わたなべ)