NPO法人のマネジメントに向けての本格的な寄り添い支援をさぽらんてでも始めました。
日時:6月12日(木)13時30分~16時45分
場所:山口市男女共同参画センター
参加者:18人
NPO法人:9団体12人 講師・アドバイザー等:6人
・認定NPO法人こどもステーション山口
・NPO法人3億年のめぐみ
・NPO法人山口せわやきネットワーク (さぽらんて運営受託団体)
講師:井野口房雄氏(インキュベーション&リボーン)
山口県県民生活課:安仲氏
山口市地域振興部協働推進課:入口氏 中柴氏
<井野口房雄氏の紹介>
株式会社インキュベーション&リボーン(インキュリボン) 代表取締役社長
プロコンとして22年。飲食・サービス・小売業・建設業・製造業等の経営戦略策定だけでなく、現場主義の理念で企業の中に入り込んで支援するハンズオンスタイルで売上・利益拡大の成果を数多く創出している。
創業→経営革新→株式上場の企業成長プロセスを一貫して支援出来る専門的な見識・人脈が豊富であり、ベンチャー1企業の顧問・取締役・株主としてインキュベーションを実践し、創業して7年での株式上場を実現した。
公的な講座は全国トップクラスとなる県内外の創業塾37回・経営革新塾7回等を専任講師として担当している。
最近は中国上海においてカジュアルオーダー主体のアパレル事業を立ち上げている。
また、ソーシャルビジネス事業者支援による地域課題の解決や地域活性化事業の推進、営農者支援を図っている。
趣味はハーレーダビッドソンでのツーリングとフルマラソン。
■参加者自己紹介
まずは、参加者がどんな人たちなのか知り合うために、お隣の人と「団体に関わるきっかけ」「法人のミッション」を話し合い発表してもらいました。
みなさんのミッションは
○社会の成長に寄与する!(井野口講師)←さっすがプロのコンサルティング。ど~んと言い切ってしまうとは大物です。
○みんなが気持ちよく生活できることに貢献したい!(県民生活課安仲氏)
○私の子どもから私たちの子どもと言えるまちに!
○若手にも地域貢献したい、山口に戻りたいと思ってもらえるまちに!
○ひきこもりの居場所づくり!
○地域の人と一緒に地域を支えられるように!
○子育てを通じて見えてきた社会課題を地域とともに解決し、山口で子育てしてよかったと思えるように!
○伝統工芸の後継者の育成、地域の活性!
○教育、福祉、医療のネットワークづくり!
○子育ての支援の循環づくり!
○医療福祉が後退しないように!
○立場を超えた対話の場から生まれる未来創造!
○子どもを真ん中に親同士がつながり、人生を豊かに!
役割は違えど、きっぱり言い切れるみなさんに社会のために山口のためにと迷いなく活動されておられる片鱗を見せていただきました。
■ミッション実現に向けての井野口先生のアドバイス
——–これからの社会——-
これからは、CSR・プロボノ・エシカル消費(倫理的、道徳的に基づいた消費)などの言葉が必ず定着し、社会にとって必要な活動のために応援・寄付します、(世の中のためになる)お金を使いますとなっていく。そんな人のための商品・サービス・受け皿を作ること必要。
震災後の日本社会は、マズローの欲求5段階の上にコミュニティ発展(利他)の欲求が出てきた。
新たな欲求による市場、多少高めでも被災地で作られた商品を購入する、CSR(社会的責任)に積極的な企業の商品を購入するなど。
そのための商品力(サービス)をブラッシュアップしていく必要がある。ソーシャルだけならボランティア。継続のためにビジネスへ展開していく必要がある。
——NPO事業体質基本指標をチェックして改善へ—–
まずは、事業体質をチェックして現状を把握し、3ヶ月、6ヶ月、1年と優先順位をつけ、体質改善を事業計画に盛り込んでいくこと。
■団体の運営上の課題
休憩をはさんで参加者同士で運営上の課題を話し合い発表してもらいました
<人>
○会員の定着(定着しないので安定的な財政基盤が整わない!
○人材の確保(後継者)・会員と団体のつながり(思いが通じてない)
○どう会員(社員)やボランティアの募集をしたらいいか。(応援者を増やしたい!)
○理事とスタッフの温度差(世代間ギャップなのか?)、後継者をどう育てればよいのか?
○企画参加者の満足度が計れないまま、次の事業へ(事業に追われ振り返る間もない・・・)
○運営・事業が個人の能力に頼る部分が大きい
○理念をどうつないでいくか
○広報 ・企画ものの広報(参加費有料のもの。どこにどれだけまいたら人が来るか)
<財源>
○受託がほとんど。多様な財源確保が必要。(資金調達の幅を広げたい)
○会費収入が減っていく。高齢化で会員活動に参加できない・退会する・リーダーがいなくなる、など財政基盤に関わる問題が顕著に
○会費と助成金でスタートした。資金をこれからどうやって調達していくか。
○物販したときに、どのように公的な機関に報告したらいいか。
○収益事業をがんばりたいがなかなかうまくいかない。
○寄付集めをがんばって運営に持っていきたい。寄付付き商品・認定NPO法人へのトライ。
<組織>
○書類の整備
○雇用体制に合せた就業規則の整備(財源不足で専門家依頼できない)
<その他>
○声の大きい人の意見が通る一般的な会議が苦痛。
—–参加者同士のアドバイス—–
→会議でないコミュニケーションが大切。世代が違うことの良さをPR。
→現場が分かる理事がいると団体運営がうまくつないでもらえる
→アンケートの活用(理事への提案は参加者の声としてつたえるといい)
→理念を常に確認できる状況をつくる(事業計画をスタッフに書いてもらうと、理念が理解できているか分かる)
→理事は個(自分中にあるもの)で語る(昔のことは語らない)
■井野口先生の寄り添いレクチャー
旅館業はなぜ衰退したのか?
→女将が経営者でないから=メニュー開発・サービス開発・営業・人材育成・資金調達と管理ができないなど、あるべき姿に持っていってない。
NPOも同じ、
“正しい経営戦略(中期の事業計画)”
“ 好ましい組織風土”
“価値観の共有化” が必要
☆事業計画は1割。残り9割は経営管理サイクルPDCAを実行するかどうか。
☆NPOも「運営」から「経営」へ、そのためにも個別の問題をみるのではなく、全体の整理から入る(まずは、基本指針をチェックするところから)
☆理念教育=根っこの可視化
☆いつ・誰が・なにを・どのように?の具体的な実行アクション
☆やるべきことが分かっているが、やらない(理由も考える)
☆個人の能力差→みんなができるように個人の能力を伸ばす、マニュアル・ロジ(リスク管理)
全ては伝えきれませんが、3時間を超える、中身の濃いNPO法人連絡会となりました。参加団体のミッションを聞きながら、改めてNPOはまちの希望であり、宝物だと実感しました。起業したいと思い始めたのではなく、地域社会の課題を放っておけない、山口が好きだからと活動を始められたNPOの活動です。だからこそ貴重。企業にはできないことしてもらっているのだから、企業が応援するのは当然と言い切ってくださる井野口先生に、今後も寄り添っていただきながら、地域社会における更なるNPOの役割の拡大に向けて支援していきます。
■課題解決を応援するさぽらんての講座等
○情報発信→ブログサロン(基礎編6/19 10-12、充実編7/10 10-12 さぽらんて)
フェイスブック・ブログ講座(9月予定 さぽらんて)
広報講座(12月予定 県センター)
○収益事業に関わる税制度→税務基礎講座(7/4 13:30-16:00 さぽらんて)
○アンケートの活用→データ・白書の活用(11/20 13:30-16:00)
○新人スタッフの研修など→NPO法の意義と特徴(8/28 13:30-16:00)
NPO入門(12月予定 さぽらんて)
○認定NPO制度→認定NPO法人への道(10/9 13:30-16:00)
<レポート 渡邉>