今年度最後のさぽカフェのゲストは、山口市男女共同参画ネットワーク事務局の青木美弥子さん。
専業主婦から、男女共同参画推進に関わることになったきっかけや、活動の魅力をお話していただきました。
●そもそものきっかけ
山口には28年前、夫の転勤で来ました。
それまでは、岩国、東京、萩、弘前、と1~2年で転勤する生活。もともと、自分から出ていくことは考えていない人なので、家で家事をゴソゴソしていました。全く外に出ることは考えてなかったですね。
子どももいないので、学校のこともなくて、自分から出ていかないと人と関われませんでした。
ちょうどそのころ、官舎で出会った活発な奥さんに、講座に行ってみないかと誘われて。それが、2年で1期の山口市婦人大学講座というものでした。
女性の社会進出や地位の向上に伴い、女性が勉強しないと、というところ。とりあえず行くだけいってみたんです。
2/3以上を出席すれば修了証書がもらえて、内容は政治経済、時事問題、女性の地位向上、環境などいろいろ。2年目はゼミ形式で3ヶ月学習し、レポート書いて発表するんです。
グループ学習のなかで、20代の自分が一番若くて。若いからと発表までやらされました。
昔はこんな人じゃなかったんです。おとなしくて、人前でしゃべれない人で。黙って座っていると、しゃべりがたいイメージだったらしいです。
だから自分から積極的にやらなきゃいけないんだなと。ここではいろいろ学ばせてもらいました。
●活動はじまる
2年終わって、講座の運営委員を引き受けました。お世話になったし、というぐらいの軽い気持ちでした。
運営委員会のなかでの話はちんぷんかんぷん。とりあえず聞いてるだけ。
現在活動している、男女共同参画ネットワークのメンバーとの出会いがここ。このはじめの出会いが、それから関わっていくきっかけになりました。
運営委員を何年かやったあと、事務局をやらないかと誘われました。そのとき、「とにかくやってみるようにしなさい。何事も、やってみたらと言われたときに、とにかくイエスと言ってやってみなさい。でないと、できるかもしれないことを捨ててしまうことになる」と言われたんです。
わたしには任せられない、とわかったら、すぐやめさせてくださいと言って引き受けました。
それから3期6年。企画をたて、講師との折衝が主な仕事です。はじめの頃は、大学で働く夫に頼んで紹介してもらえばいいかな、と軽く思ってたんです。それが、全然協力してくれなくて。しかたなく、新聞ひらいて、講座に行って、先生にお願いしていました。
そうやって一生懸命とりくみはじめたとき、夫に「○○先生もいるよ」と言われて。どうにかなる、という甘い気持ちで、責任感がなかったんだなと気づかされました。
それからは夫の協力もあり、他の運営委員の人たちもやれることは自分でみつけて、個々が一生懸命やるようになりました。
●どんどん続く
その後、「代表理事にならないか」と誘われました。言われたことはやってみなさい、の言葉を思い出してやることに。
そんな活動をやっていたときに、市の男女共同参画ネットワークがスタートしました。個人、企業、団体で、社会的に参画を推進していくというもの。この総務事務局長を、現在もやっています。
県女性財団の企画運営委員として、県下で活動しないかという話もきました。
市だったらできても、県になると…と思ったけど、仲間と一緒にやることに。その時代は活発でした。当時の会長の力だったと思います。この方は視野が広く企画も大きい。いろんな企画をやりました。
県のフェスティバルでは企業のトップをよんできて対談したり、映画監督や大学の先生をよんだり、いろんな立場の女性を集めてシンポジウムをしたり、県出身の有名人のグッズでオークションをやったり。
それから、そこの企画運営委員長になりました。
会長にひっぱりあげられたんですが、ひっぱりあげてもらっただけでなく、言葉やいろんなところで支えてもらいました。
●ここで、参画について
みなさん「男女共同参画」ってどう思ってる?社会に必要だと思いますか?
・意識したことない
・知ってるけど、女性が男性と同じ権利を主張しているだけのイメージ
そうなんですね。おばちゃんたちがワーワーいってる、みたいに思われがちなんです。働いている女性のために、男性が子育てや家事をするものだ、と専業主婦はすみにおいやられ、ねじまがった参画が広まってしまっていて、賛同し、理解してもらうのが難しいんです。
根底にあるのは人権です。社会的な男女の壁をなくしていこう。やれることをやれる人がやろう。こうあるべき、と決めつけないのが参画です。他の人と比べる必要はないんです。
参画は難しくありません。個々が自分らしく生きていける生き方を探していけば、自然にできます。
●支えられて、いま
いろいろあっても、それを嫌だととるか、どうとるかです。もともと物事を深く考えないタイプ。それはそれで、と気持ちのもちようで回避してきました。
いろんな人の力で、いまの自分があると思います。ありがたいです。活動してくるなかで、人間関係の構築ができました。
これまでの活動は、たくさんの出会いに支えられてきました。これしかやってないけど、継続することが力になったと思っています。
★ここからは白熱討論会!
青木さんの手作りチーズケーキをいただきながら。
参加者のみなさんも活発に発言され、とても魅力的な時間でした。内容を簡単にご紹介します。
女性は戦力。経済的に自立し、社会的にも自立して、上がっていかないといけない。
産休育休はブランクになる。女性にもチャンスを与えてほしい。
体験談①
上司がフォローしてくれて、社内保育所もあり、制度もかなり整っている会社だけど、定時で帰るのがひけめで、出産後退職した。自由なときにがんばりすぎたからかも。
М字カーブに出ているように、キャリアがあってもやめちゃうことで、日本の労働力がダウンしている。
体験談②
公務員で子ども3人。ずっと仕事を続けていた。ひけめ感じず、時間になったらすぐ帰っていた。
このお二人を比べたとき、キーワードは「わりきり」。続けるか、続けられないかはそこ。
その人だけしかわからない仕事を作らないのが理想。
最近は、メンタルで休む男性が多い。男性を基本に考えると、女性は無理。過労死とかがおこる現在、男性にも無理がきているのではないだろうか。
国会とか意思決定の場に、女性がいることは大事。
法的に整ってきてはいるけど、まだまだ男女差はある。
いろんな部分に参画は必要。自分にあてはめて参画を考えて。
参加者から
参画に子育てを大事にする視点も入れてほしい。
一度やめても、再就職で正規雇用になればいいんだけれど、そうならないのが現状。かといって、働き続けられないのも問題。
参画は、働く女性のためのものではない。
男性も仕事やめてもどうしたらいいかわからない。そこで、社会とつながれるようにする。
それがワークライフバランス
夫と妻と、バランスをとりながら、子育てをないがしろにするわけでなく、仕事を選択することもできるように、みんなで子どもを育てていこうというのが参画。
子どもを産むのは自然なこと。それを認められる社会であってほしい。
世の中には、どうしても働かなきゃいけない人、働きたい人、子育てしたい人、いろんな人がいる。
どれもその人の生き方。
参加者から
いまは子育て中だけど、いつかは正規雇用で働きたい。
次に進めるステップとして、子育て中を有効に使おう。託児などをうまく利用して。
いろんな場面で参画は必要。
会社の意識、個人の意識、若い男性も。これからは、子どもと男性に対する参画が重要になってくる。
活動を通して広がる人間関係が大事。
●感想
男女共同参画という、とっつきにくいキーワードがあったので、どんな方なのかちょっとドキドキしていましたが、とっても素敵な青木さんでした。
ほんわりふんわり、でも鋭い。
いろんなことを乗り越えて、いまがあるんだろうなあ。
わたしのなかの参画のイメージも、だいぶ変わりました。
明日からも、みんなでがんばろう!と、そんな気持ちになりました。
市民広報記者 かきたとも