1月23日(日)第6回さぽカフェを開催しました。
最終回にお迎えしたゲストは
訪問看護認定看護師の岡藤美智子さんです。
岡藤さんは結婚を機に山口県に来られ、
4人の子どもを育てながら、
看護師として病院に勤務しました。
山口赤十字病院で癌の終末期病棟を
担当しているとき、
患者さんから「何もしてくれない」という声を
聞くこともありました。
毎日たくさんの患者さんに一生懸命接していても、
患者さんは看護師に、自分のケアするために
もっと長くそばにいて、
ゆっくり話も聞いてほしい・・・。
何年も寝たきりの患者さんには、
もっとして差し上げることがあるのでは
と思うこともありました。
看護師としてのあり方に悩みながら退職したとき、
ちょうど訪問看護制度が始まり、
訪問看護認定看護師の資格を取得。
現在は、仲間と共に地域で「人として最期まで
自分らしく生きる」お手伝いがしたくて、
訪問看護事業所「訪問看護おかふじ」を立ち上げられ、
「最期まで自宅で過ごしたい」という患者さんや家族の
心に寄り添うことを心がけた看護を提供しています。
患者さんとのエピソードを紹介してくださいました。
介護ベットの側に自分のベットを並べて、
いつも一緒にいれるように過ごされたご夫婦。
自宅のお風呂に入りたい・・・という希望に、
家族と協力して、亡くなる3日前に叶えることができた。
痛みのコントロールで、おばあちゃんとの普段の生活。
食事や宿題をする部屋におばあちゃんが横になっていて、
体調観察記録をお孫さんがしたり、一緒におしゃべりしたり・・・
家族みんなで見守った「いのち」。
少しずつ心を開いてやっと体を拭かせてくれて、
「こんなに気持ち良いのなら、もっと早くお願いしたら良かったわね。」と。
それからはたくさん話してくれるようになりました。
脳腫瘍のおじいちゃん。体はしっかりと動くけれど、段々と自分のことが
判らなくなっていくのを、息子さんがしっかりと受け止めて・・・。
あるお宅を訪問したら(「入っていいよ」って)玄関がちょっと開けてあり、
そのちょっとした配慮に胸を打たれたり・・・。
訪問看護をしていると、患者さんと家族、
出会いの中で、温かさを感じたり、逆に私が支えられているな、
成長させてもらっているなと感じることがあります。
「どうしても病院で過ごす方が安心!」という人もいます。
病院では延命措置のために家族は病室の外に出されることもあるけど、
家であれば、命の最期を家族で見守れます。
良くも悪くも最期まで時間を共にできるのが、在宅ケアなのではないでしょうか。
参加者からは、「余命三ヶ月と言われれば、長い短いではなく、
どういうふうに時間を過ごすかで、中身が違ってくるんだなと。」
「訪問看護師って、心と心がつながるお仕事ですね。」。
看護師経験者からは、「病院は迎え入れる。
訪問看護はお邪魔しますという感じ。
亡くなった後も家族との係わり合いがあるけれど、
病院ではなかった。」
「入院病棟に勤務していましたが、毎日の仕事に追いやられていた。
訪問看護に出会って、衝撃を受けた。」という声もありました。
***感想***
岡藤さんの優しい笑顔に癒されるなと思いながら、
あっという間に過ぎた2時間。
見せていただいたスライドの中に、
娘の同級生のご家族のエピソードがありました。
お葬式に行ったときに、子供さん達がとてもしっかりしていて
驚いたのを覚えています。それは、子供であってもきちんと説明してもらうことで、
死を受け入れることができたんだなと・・・。
生まれてきたから死は避けられない事に改めて気付きました。
だからこそ、今この時間を大切に生きようと思います。
市民広報記者 高場