今年度のテーマは、「病気と仕事の両立支援」。認定NPO法人山口県腎友会、ポポメリー、あなろぐの会、難病サポートfamiliaやまぐち、親の会カフェ山口~起立性調節障害と不登校を考える~の5団体と、山口産業保健総合支援センター、協働推進課2名、ふるさと産業振興課1名、オブザーバーとしてひとり親支援団体.Style代表でありキャリアカウンセラーの小西さんを加え計10名が参加してくれました。
軽い自己紹介と団体紹介の後に、まずは当事者の立場から病気と仕事の両立に関する体験談から。
NPO法人山口県腎友会 理事長 吉村さんは、28才頃から職場の健診でひっかかるようになり、38才で透析が必要になると宣告されました。当時は透析を受けても(寿命が)もって3年と言われていた時代で、頭が真っ白になったそう。しかし、患者会の先人たちの多方面への働きかけが実を結んで医療や福祉サービスが拡充され、透析治療が保険適用になるなどした結果、宣告から30年たった今も元気に過ごされています。
ポポメリー代表 藤本さんは看護師として働いていましたが、ガンの宣告を受け、ビックリ退職(なんの兆候もなかった人が突如仕事を辞めること)を経験。1年後に看護師として復帰後、当事者と医療者のギャップを感じたのが活動の原点なんだそうです。
あなろぐの会代表 岸田さんは、最初は病気であることを言わずに仕事をはじめ、そこから何度か転職を繰り返し、今は病気に理解がある医療関係の職場で無理なく働けている体験をお話くださいました。
次に、家族の立場から。難病サポートfamiliaやまぐちの岩屋さんは出生時に全国で約60人しか症例の無い難病と診断された現在23才の息子さんが、Eスポーツのプロゲーマーとして活躍するかたわら別のお仕事もこなすなかで、一時離職の危機もあったことを明かしてくれました。
親の会カフェ山口の石井さんは、上のお子さんが中学校の時に起立性調節障害を発症、同時期に下のお子さんの病気が発覚し、今も定期的に通院をしています。「娘のことも心配だけど、自分のことも心配。周りに迷惑をかけたくないという思いがある」と、患者家族として支える側も働くことへのジレンマを明かしてくれました。
今度は病気と仕事の両立を支援する立場から、山口産業保健総合支援センターの山藤さんにもお話いただきました。
山口産業保健総合支援センターは、厚生労働省の委託で、センターと山口県内の病院の計9カ所で治療と仕事の両立支援について相談できる窓口を開設しており、病気が分かったものの、会社にどう伝えたらいいのか、何をしたらいいのか分からない状況の時に相談できる機関ですが、認知度の低さが悩みなんだそうです。
藤本さんのビックリ退社の話を受け、「辞めてしまうとセンターとして支援できなくなるので、ぜひ仕事を辞める前にセンターに相談してほしい」とのこと。
キャリアコンサルタントの小西さんは、藤本さんの(ガン患者が病気のことを)言える自分になっていないという話に、ひとり親支援でも重なる部分があることに気づいたそうです。
相互理解が深まったところで「こんな支援があったらいいな」を各自で考え、付箋に書き出すワークを行いました。
どんな意見がでたか、いくつご紹介します。
「告知休暇」はビックリ退社を防ぐためにも、病気の告知があった後、しっかり自分の気持ちを整理する時間があってもいいのでは、という小西さんのアイデア。
「資料のAI化」はコンピューター関連の仕事経験もある岸田さんのアイデア。確かに、紙の資料は数年で情報が古くなってしまうので、AI化によってその人が必要な最新情報にすぐたどり着けるようになるといいですね。AI化は、文章を読むのが苦手な人にとってもメリットがあるという話も。
みなさんからのアイデアをいい仕組みづくりに昇華できるよう、次回しっかり掘り下げていきたいと思います。なお、円卓会議の詳しい内容は、2回目開催後に発行予定のさぽカフェかわら版にてお伝えします。(さぽカフェ担当 川上)