アンケート調査を行うとなると手間がかかる・・・
経験や感覚だけでは説得力がない・・・
そこで、今ある、白書やデータを活用して、活動に生かしていくための講座を開催しました。
講師は、山口大学で40年以上社会学を研究して来られた社会調査のプロ、山口市地域づくり支援センターの専門員でもある小谷典子さん。
現在、個人情報の保護や家電話を持たない若者など、調査環境は悪化で信頼度も低下しているそう。それでも莫大な手間がかけられ導きだされた数値を活用しない手はない。経年データや客観的情勢を踏まえて、賢く活用するための基礎を習いました。
■社会調査とは
・・・社会の現状分析の方法
社会学・自然科学は社会調査によってのみでしか明らかにできない。
【社会調査の種類】
1 質的調査(事例調査)
少数の対象(事例)に対して、集約的に調査(主に自由面接法)
調査結果は主観的分析し、文章で表す
2 量的調査(統計調査) アンケート調査
大量の対象に対して、表面的に(主に調査票を用いて)調査する。
調査結果は、統計的に分析し、数値で表す。
【調査の方法】
・面接調査法・・・意識調査においては最適の方法、
調査環境の変化で困難
調査員の訓練が必要。
※誰でもできるものではない。
・留置調査法・・・国勢調査
事実の調査なら可(但し回答者が本人かどうかは?)
・郵送調査法・・・現代社会にフィット
回収率に問題
調査の品質に直結
・RDD電話調査法・・・最近の主流。若者層が固定電話を持たず取りにくい
・インターネット調査・・・回収率が低い
■白書と政府統計
・各省庁の白書
政治社会経済の実体及び政府の施策の現状について国民に周知させることを主眼とした各省庁の刊行物
・背後には、大量の統計データがある
総理府統計局:日本の統計の中核機関
☆ e-Stat:政府統計の総合窓口
【内閣府白書】
・経済財政白書 ・防災白書
・子ども・若者白書 ・食育白書
・少子化社会対策白書 ・高齢社会白書
・障害者白書 ・交通安全白書
・犯罪被害者白書 ・自殺対策白書
・男女共同参画白書
その他の省庁からも多数の白書が刊行されています。
【センサス・・官公庁で実施される調査】
・人口・世帯に関する統計
国勢調査、人口推計、住民基本台帳人口移動報告
・家計に関する統計
家計調査、家計消費状況調査
・物価に関する統計
小売物価統計調査、消費者物価指数(CPI)
全国物価統計調査
・労働に関する統計
労働力調査、就業構造基本調査
・文化・科学技術に関する統計
社会生活基本調査
・企業活動・経済に関する統計
経済センサス、 事業所・企業統計調査
・地域に関する総合統計
統計でみる都道府県・市区町村のすがた(社会・人口統計体系)日本統計地図、 地域メッシュ統計
【世論調査】
1 政府機関及び政府関係機関の世論調査
2 都道府県・同教育委員会・同選挙管理委員会
等の世論調査
3 市・同教育委員会・同選挙管理委員会等の
世論調査
4 大学の世論調査
5 新聞社・通信社・放送局の世論調査
6 一般企業・団体・専門・広告業の世論調査
【世論調査(内閣府政府広報室)】
・社会意識に関する世論調査
・国民生活に関する世論調査
・外交に関する世論調査
・防災に関する世論調査
☆内閣府世論調査
◆平成25年度の国民生活に関する世論調査を見てみると・・
データの集め方について
・層化2段無作為抽出法で20歳以上の国民全体の偏りのない縮図となる標本を作成
・調査不能の内訳の掲載
・経年にみると有効回収率が低下。特に20代が低い。
◆分析してみる
・働く目的の推移はお金を得るために48.9%、つぎに生きがいを見つけるため20.9%と続く
・理想の仕事と働く目的のクロス集計からは○お金を得るために働く人は、高い収入が得られる仕事が67.6%と対象者全体の比率51%を大きく上回る○社会の一員の務めを果たすために働く人は世の中の為になる仕事を選ぶ人が25.9%と対象者全体の比率14.7%を上回るなど働く目的と動向がはっきりみえる。また生活程度と働く目的でも、現実の生活程度が目的にどう関係するかが見える。
■関係するデータと活用事例
「山口県NPO法人データベース」「市民活動に関する調査・報告(内閣府)」「特定非営利活動法人に関する実態調査(内閣府)」「NPO法人に関する世論調査」から
・NPO法人活動分野の山口県と全国の比較
・NPO法人格・認定NPO法人格取得の年度別推移
・NPO法人格・認定NPO法人格職員数、寄附金額
・NPOの活動への参加意向
・NPOに期待する役割
・寄附をする際に重視する点(都市別・性別・年代別クロス)
などの分析するための簡単なクロス集計を教えてもらいました。
◆身近な、山口市まちづくりアンケートを分析して市民活動の可能性を見てみました!
・ボランティア活動について性別・年代別クロス
・この1年間の町内会活動への参加について性別・年代別クロス
以上から、
→女性より男性の参加が積極的
→20代30代はいずれも消極的 などの現状が見えてきました。
■実際にデータを開けてみる
政府の総合窓口(e-Stat)からそれぞれに気になる統計や世論調査を検索してみました
実際に検索してみると、サイト内の検索機能より、Googleの検索機能の方がヒットしやすいなどの現実も見えてきました。
データ活用への道のりは、まだまだ遠いですが、まずはe-Statをお気に入りに登録して、たくさんの統計資料や世論調査を基にした白書を開いて、社会課題を明確に捉えていくセンスから磨いていきたいと思いました。
<わたなべ>