10月21日(月)『事務処理講座』
1 事務処理って…
この‘事務処理’って言葉を聴くだけで、もう面倒くさくなるのではないでしょうか?
この‘事務処理’。どんなものがあげられるのか少し整理してみましょう。
●外向け文書(公的文書)
※ある程度形式が決まったもの
依 頼 文 ⇒協力依頼・後援依頼・講師依頼等
挨拶文・礼状 ⇒講師や協力者への礼状等
開催案内 ⇒研修やイベントの開催をお知らせする文書等
契約書 ⇒外部委託や賃貸借等の種々の契約書
助成金申請 ⇒助成金を申請するときの文書等
●内向け文書(内的文書)
※自分たちで様式を決めるもの
復命書(報告書)⇒ 会議出席や出張、講座の様子等を記録したもの
議事録・会議録 ⇒ 内部の会議で議論内容や決定事項を記録したもの
伺い文 ⇒物事を決めるために、決定責任者に確認をとるもの
取り決めごと ⇒団体内の規定や決まりごと等
2 事務処理の意味
事務処理そのものは大変なもの。そして、事業と事務処理は表裏一体。
事業実施にあたっては、必ず事務処理を行っているはずです。
でも、外向け文書は必要だから仕方がないとして・・・。
内向け文書って、どうして必要なのでしょう。
(1)事務文書がノウハウの引継ぎへ
事業について関係する文書を記録することで、団体のノウハウが蓄積されます。
例)イベントものであれば・・・
開催案内及ぶ案内先一覧
準備物
会場使用申請書
報道配布資料
チラシ作成物及び配布先一覧
進行表
当日の記録(復命書)
(2)決定事項や動きの共通認識へ
担当者が不在でも、みんなが今の動きがわかるようにしておきます。
団体のメンバーが、詳細を把握していなくても、概要は知っているようにしておくためにも、また不測の事態(事故、病気等)が起こったときにも、対応しやすくなります。
(3)伝える文章や外向き文書の練習へ
文章を書くのが、いつも‘外向き文書’ばかりだと、たまに気合を入れて書くものになってしまいます。
そのため、いつまでたっても、文章は特別なとき、特別なことで作成するものになり、‘伝える文章’は上達しません。
‘内向き文書’であれば、見るのは団体のメンバーのみ。
最初は変な文章でも、内部で指摘しあえば‘伝える文章’がなんとなく見えてきます。
(4)記録として
特に意識したいのが、会議録。
といっても、堅苦しいものでなくても、『決定事項が何か』、『検討事項は何か』を明記し回覧しておくと、次の会議にまた「私は聞いてない」とはならずにスムースに会議を進めることができます。
上手な会議の進め方にも直結していきますので、会議録はしっかりとっておく方がいいのでは?
また、事業実施の記録として保管しておくことで、突発的な外部の問合わせや資料づくりにも対応できます。
3 地方自治体の困惑?
2005年9月、山口県でも24箇所の公的施設を指定管理者募集が実施されました。
全国的に広がる、『官と民との協働』や『指定管理者制度』。
しかしながら、地方公共団体がNPOと手を携えようとする一方で、その事務能力の不備から困惑をしているのが現状ともいえます。
参考・・・『地方自治体のNPO支援策等に関する実態調査』より
―シーズ=市民活動を支える制度をつくる会―
○受託者となったNPOへの不満
①事務処理能力に問題があった
県77.8% 市町村45.6%
・プランがなく観念的
・積算根拠もない
・成果品の不備(事業報告類)
・書類作成の流れ
・命令系統の不備 等
②日常的な連絡をとるのに苦労
③自治体への過度の依存
④人材・人員の不足
⑤成果の質・量が不十分
⑥仕様(納期限等)の軽視
⑦自治体の目的や意図の不理解
4 さぽらんてでの様式
山口市市民活動支援センター「さぽらんて」も、NPO法人 山口せわやきネットワークが運営しています。
そのため、前述した様式が様々に活用されています。
これは、公的施設を運営する団体としての責任を果たすために必要なものとして作成をしています。
(1)伺い文
事業を実施する際に、様々な面で活躍します。
外部に出す文書やチラシ印刷、あるいは新たな取り組み等・・・。
要するに、これは団体メンバーの共通認識と責任分散のためのものです。
組織に所属する個人が勝手にやっているのではなく、組織決定として行っていると安心できるためのものです。
本来なら、個人が勝手に出す文書は、組織が責任を負うものではなく、伺いを取ることで組織としての責任が発生するものだと理解しましょう。
(2)供 覧
外部からの広報紙や案内等、様々な情報が団体へ送付されてきます。
これも大事な情報の一つです。
きちんと団体メンバーと情報共有しておく必要があります。
(3)復命書
これも様々な面で活躍します。
会議録、講座やイベントの記録、研修出張の報告等。
これは、情報共有と団体の記録を兼ねており、簡単でも資料付きで残しておくと便利です。
(4)相談カード
これは、さぽらんて特有のものです。
相談に来所された方の相談内容や対応の経過を記録することで、他の職員が対応する場合の参考になります。
また、その対応を読むことで、他の職員で知らない情報(施策等)を共有することができるので、活用をしているものです。
5 文書文例
山口県では、『文書事務の手引き』を発行しており、‘外向き文書’の文例を示していますので、その都度参考にするのが便利です。
10月28日(金)『ファイリング講座』
1 ファイリングの目的
○事務処理の流れの一つであり、団体の行動を全て把握しておくために書類などを整理・保管していくものです。
●書類整理の三原則
①立てる ⇒書類は横積みしない
②見せる ⇒タイトルを必ず記入する
③捨てる ⇒不要書類は随時破棄する
2 ファイリングの方法
(1)どこに置いておくの?=場 所
○事務所はどこ? 事務局は誰?
分散して保管する場合の場所
○見ることのできる人の線引き
(2)誰の責任なの?=責 任
○事務局長・事務局員は?
理事が自然に兼務するのではなく、代表任命で責任所在を明らかにします。
これは、有給・無給は、関係ありません。
(3)どういう書類を綴るの?=書類内容
○ファイル項目<例>
(4)どのように綴るの?=方 法
○探している書類に、スムースにたどり着けるように綴ります。
①柱の立て方
○団体内で共有できる柱探し⇒定款や事業計画で柱があるのでは?
②様式の意味
○重要度と頻度があるからこそ様式に書くもので、探し出す時に役立ちます。
(5)いつまで置いておくの?=保存期間
①法令で保存が定められているもの
<例>商法及び法人税法での保存、NPO法での保存、個別事業での保存
☆保存媒体
紙保存と電子保存(通称:e-文書法)
いかがですか?
ぜひ参考にして、曖昧な記憶に頼るのではなく、確実な記録に頼る組織づくりを目指しましょう。