NPO法人運営研修 第4回
会計編成講座
日 時:7月28日(木)13:30~15:00
場 所:さぽらんて 会議室
参加者:7団体(NPO法人)7名
講 師:平野雅彦(山口市市民活動支援センター次長)
今回のNPO法人の会計担当者の参加者の会計に対する率直な思いは・・・?
好き!自分に向いている。 1人
どちらかといえば好き! 1人
好きとか嫌いとか意識していない 2人
苦手だけどなんとかやっている 2人
講師の平野の予想通り・・・会計に対して消極的な思いの方もおられるようです。そんな方たちのために今回は会計の基本を確認する講座です。
参加団体の会計実態を尋ねてみると、
予算規模が100万円から3000万円、
収益事業を行っている法人が5団体、
会計ソフトを活用している団体5団体、
会計事務所との顧問契約のある団体は2団体でした。
さぽらんてにも会計に関する相談は寄せられていて、
Q.会計はどう組めばよいの?
Q.会計はどうい時に必要なの?
Q.勘定科目はどんなものがあるの?
Q.企業会計とどこが違うの?
などという質問が寄せられます。
いきなり、勘定科目の相談となることも多いのですが、会計においては、会計編成が全てのスタートとなります。
ということで今回は、会計編成を中心に、収支計算書・損益計算書・活動計算書の違い(新会計基準)、注記、外部からの監査についての講座です。
■特定非営利活動推進法(以下NPO法)での会計の条件は?
(その他の事業)
第5条 特定非営利活動法人は、その行う特定非営利活動に係る事業に支障がない限り、当該特定非営利活動事業以外の事業(以下「その他の事業」という。)を行うことができる。この場合において、収益を生じたときは、これを特定非営利活動に係る事業のために使用しなければならない。
2 その他の事業に関する会計は、当該特定非営利活動法人の行う特定非営利活動事業に関する会計が区分し、特別の会計として経理しなければならない。
(会計の原則)
第27条 特定非営利活動法人の会計は、この法律に定めるもののほか、次に掲げる原則に従って、行わなければならない。
一 削除(収入及び支出は、予算に基づいて行うこと←運営の妨げになると削除された)
二 会計簿は、正規の簿記の原則(※1)に従って正しく記帳すること
三 財産目録、貸借対照表及び収支計算書は、会計簿に基づいて収支及び財政状態に関する真実な内容を明瞭に表示したものとすること。
※【改正NPO法で三は以下に変更】計算書類(活動計算書及び貸借対照表をいう。)及び財産目録は、会計簿に基づいて活動に係る事業の実績及び財政状態に関する真実な内容を明瞭に表示したものとすること。
四 採用する会計処理の基準及び手続きについては、毎年度継続して適用し、みだらにこれを変更しないこと。
※1:正規の簿記の原則
一定の要件に従った正確な会計帳簿を作成すること
この正確な会計帳簿を基礎にして誘導法により財務諸表を作成することの2つを要求する原則である。
ここのいう一定の要件に従った性格な会計帳簿とは
○網羅性(経済活動のすべてが記載されていること)
○立証性(会計記録が検証可能な証拠資料に基づいていること)
○秩序性(すべての記録が継続的、組織的に行われること)
を備えたものをいい、一般に複式簿記による会計帳簿がこれに該当する。
以上がNPO法に定められている会計の条件です。
このように『NPO法上のその他の事業』であるかどうか、『税法上の収益事業』であるかどうかを見て、会計編成を考えます。税務申告が必要であれば、損益計算書が必要となります。
これらを踏まえて、それぞれのNPO法人にとってわかりやすい会計を組み処理すればよいということになります。
■新NPO法人会計基準について
現在、県の示している財務諸表の様式例では、収支計算書と貸借対照表では、相互に数字合わせができず、連動していません。内閣府では「特定非営利活動法人の会計の明確化に関する研究会」を立ち上げて、新しい公共の担い手として重要な役割を果たしているNPO法人の会計の明確化をはかり市民にとってもわかりやすい会計の在り方を、民間主導で策定された「NPO法人会計基準」をベースに検討中です。
この会計基準の活動計算書の中には、収入に『施設等受入評価益』『ボランティア受入評価益』支出には『施設等評価費用』『ボランティア評価費用』という費目がありますが、これは、NPOに『無償または著しく低い価格で施設の提供を受けた場合』、『無償又は、著しく低い価格で活動の原価の算定に必要なボランティアによる役務の提供を受けた場合』が、あまりにも多いので、目に見えない経費を評価しようと設けられた費目です。
処理方法は3パターン
会計的には認識しない
合理的に金額を算定できる場合には注記できる
財務諸表に計上するに足りるほど客観的なものである場合には活動計算書に計上できる
の注記については、財務諸表とセットとなっており、団体運営を見る上でも重要となってきます。
■外部からの監査・調査
NPO法は自主性を尊重された内容になっていますが、その他の縛りの委託契約書や補助金交付要綱、会計検査院法などに基づき調査が入ることがあります。
NPO法、契約、税法などに違反していないか、法人内部でのチェックのしくみはもとより、最後の砦である法人監査の会計知識は重要となります。
■会計の流れ
特別会計を組むかどうか。
(NPO法のその他の事業、税法の収益事業があるかどうかなどを検討)
どういう会計科目・勘定科目にするか。
(事業ごとの使途がわかる目的分類・形態分類併用が望ましい)
収支計算書・活動計算書(損益計算書)のベースとなる毎日のお金の出入りをきちんと適時に処理する。
組織内部の最終的な数字のチェック
監査(NPO法人の監査)
総会(会員への報告・承認)
報告(NPO法人データベース等)
外部からの監査・調査の可能性
財務諸表は、法人の規模・現状を伝えるものであり、きちんとした会計報告でのみ信頼を得ることができます。そのために会計編成を考え、経理処理をきちんとすることが前提です!
以上、ごく一部ですが、レポートとしてお知らせします。これから、NPO法人が地域を支える柱としての信頼性を確保していくために、収益事業を自由に展開していくために、会計についてしっかり学ぶことが必要だと思いました。<レポート:わたなべ>
参考するとよいHP(2017.11.21 修正加筆有り)
♪内閣府NPOホームページ(特定非営利活動促進法の一部を改正する法律について)
♪NPO会計道:ブログ(新寄附税制とNPO法改正)