ひつじの会の若葉ホームを利用するSさん(30代男性)は、附属養護学校高等部(旧)を卒業後、15年間U社で働いています。U社は寿司や弁当などの仕出しをされています。
8月下旬、会員2名がU社で社長さんとベテランの従業員Bさんにお話をうかがいました。
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Q 知的障がい者を雇用されたきっかけは何ですか?
A Sさんは高等部2年生、3年生のとき、合計4回、こちらの会社の実習に来ました。そして本人がここで働くことを希望したので雇用しました。
素直で口数の少ない子という印象でした。
Q 知的障がい者を雇ってみて、戸惑ったことや困ったことはありませんでしたか?
A 実は、Sさんが同僚の頭を殴ったという事件がありました。同僚は健常者でしたが、双方とも最後までその理由を言いませんでした。
そのときは高等部の先生に来てもらい、一週間様子をみてもらいました。
初めはこちらも、Sさんの障がいについて、わからないことが多く、返事が「はい、はい」と返ってくると、本人はわかっているものと思っていましたが、その時になってやっと、『こちらが言っていることが、本人にはわかっていない場合もある。』ということがわかりました。最近は、Sさんは「わかりません。」と言えるようになりました。
Q 卒業以来、Sさんを長く雇用されていますが、続けていただいている理由は何ですか?
A Sさんの場合、まじめに与えられた仕事をしていますので、雇い続けています。先ほどの事件のあと、同僚の人が定年のため辞めたので、今はその人の分もSさんが責任を持って頑張ってこなしています。
Q これからSさんにどんなことを望んでおられますか?
A Sさんを見ていると、最近は他の従業員たちとの会話に加わっていたり、冗談を言うこともあります。理解できることも増えています。
従業員はみんな優しい人たちですが、本人よりも年長者ばかりでもあり、周りの人に敬意を持って接して欲しいと思います。仕事場での勤務年数は長くなりましたが、高慢にならず、言われた仕事をきちんとこなしてもらいたいです。
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* 社長さん、Bさん、お忙しい中インタビューに答えていただき、ありがとうございました。