「利益が得られないのに、なぜ企業が社会貢献活動を行うのですか?」
そんな質問をよく耳にします。企業が雇用を創出し、社会の役に立つ人材を育成し、納税をするという意味では企業が行っている事業そのものが社会貢献といえるのかもしれません。しかし、もう一歩踏み込んで、これらの価値をさらに強化する方法があります。それが、事業とは異なる活動としての社会貢献活動です。
社会貢献をすることでの企業のメリットをいくつかあげてみます。
- 企業のブランドイメージが向上。マスコミが取り上げてくれれば宣伝広告効果もある。
- 行政に頼らない自社の判断による利益の分配が出来る。
- より良い人材が確保できる。
- 社会にとって価値の高い人材の育成が可能になる。
私たちの身近でも社会貢献を積極的に行っている企業があります。そんな企業の社会貢献の事例をご紹介します。
無料ロボット教室で地域社会貢献
株式会社NFデバイステクノロジーでは、地域の子どもたちを対象に、簡単な講習とロボットの組み立て、ロボットを動かすためのプログラミングを体験できる無料のロボット体験教室を開催しています。子ども相手なので思い通りにいかないことも多い反面、リピーターとして何度もロボットセミナーに参加してくれる子どもたちの成長を見られることがうれしいと担当の庄村さん。
社員にいろんな経験をさせたい、地域とのつながりを大事にしたいという社の方針のもと、5年前にこの教室ははじまりました。ボランティアを通じて、これまで出会わなかったような人たちと接する機会が増えることでコミュニケーション力が鍛えられます。人前に出ることも教えることも苦手だった若手スタッフが、回数を重ねていくごとに反省会で次に向けての改善点やアイデアを積極的に出してくれるようになったそうです。
株式会社NFデバイステクノロジーでは、無料ロボット教室を地域の子どもたちに行うという社会貢献を通して、若手スタッフの人材育成を行っています。ロボット教室に参加した子どもたちの中から、将来ロボットを組み立てる仕事をしてみたいという夢をもつ子が出ると嬉しいですね。
自動販売機で社会貢献
山口市下小鯖にある「サン・ロード株式会社 」にお花マークのかわいい自動販売機が設置されました。
この自動販売機で購入したジュース代の一部がサン・ロード株式会社の支援する団体「こども明日花プロジェクト 」(生まれ育った環境のために、学ぶことができない子、お腹いっぱいに食べられない子、居場所がない子、そんな子どもたちゼロを目指す団体)への寄付になります。
購入者は自動販売機で水やお茶、ジュースを買うことで誰でも手軽に社会貢献ができます。直接的な支援や多額の寄付はできないものの、こういう形で支援団体を応援したい方は多いと思います。
企業は寄付つき自動販売機を設置することによって、支援団体を応援することができ、企業のCSR 活動としてアピールにもなります。
サン・ロード株式会社
〒753-0212 山口県山口市下小鯖645番地5(本社)
TEL:083-927-0023
FAX:083-927-0600
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プロボノで社会貢献
仕事をしていく中で得た知識や営業スキルを生かして社会貢献をしている人をプロボノといいます。営業マンとして活躍しているYさんは、プロボノで知り合った人との信頼関係が仕事に結びついたと語ってくれました。大事な取引をする時、最終的には会社名より担当者の人柄や誠実さで決まるのではないでしょうか。社会貢献活動を通じて自分の人となりを知ってもらっておくと、何かあった時に「あ、これはあの人にお願いしてみようか。」ということにもつながる事が多いのです。
プロボノとはラテン語の「プロ・ボノ・パブリコ(Pro Bono Publico)」(公共善のために)が語源。米国の弁護士の間でスタートしたものです。日本でも社会貢献志向の若い世代に関心を呼び、参加者が急増しています。企業でも、創造性を高めたり発想の幅が広がったりなどプロボノの効用を認めており、プロボノを奨励する動きが出ています。
寄付という選択・今の仕事を通じて夢を叶える
ひきこもりの辛さは、経験したものにしかわかりません。これまでにも社会参加が困難な若者たちのために野菜工房も構想しましたが、思った以上に手間がかかり、経済的な問題があるのであきらめるしかないと思っていました。そのときに「支え人。」プロジェクトに出会い、「本業を通じて夢が叶えられる!」と一も二もなく参加を決めました。そう語るのは、周南市で「有限会社 寿司やす 」を営む安達さん。
「寿司やす」では、法要膳の一部を「認定NPO法人支えてねットワーク 」(すべてのひきこもりの社会参加実現を目指す団体)に寄付というカタチで団体の支援をしています。
企業活動をしながら自分のやりたかった社会貢献活動をすることって、よほどの資金力や体力がないと難しいもの。寄付を通じた自己実現という形もあります。
寿司やす
〒746-0017 山口県周南市宮の前2丁目1-1
TEL:0120-083-488
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就労支援というカタチの社会貢献
「有限会社ひわだや」は天保時代(1830年代)から続く「ひわだや」を平成6年に法人化したもので、代表の佐々木真さんは山口県内唯一の桧皮葺師(ひわだぶきし)です。有限会社ひわだやはこれからも檜皮葺(ひわだぶき)という日本独自の伝統建築文化を守り伝えていきます。
桧皮葺とは、桧(ひのき)の皮を精製した材料を、竹釘を使って打ちとめていく屋根建築の工法です。例えば京都御所、清水寺、厳島神社など、山口市では国宝瑠璃光寺五重塔、龍福寺本堂などがそれにあたります。
以前より、NPOや社会貢献に興味のあったおかみさんが企業×NPOの寄付つき商品プロジェクトの説明会へ参加しました。「認定NPO法人支えてねットワーク」のプレゼンを聞き、ひきこもりの就労支援をすることにしました。
桧皮拵え師はなかなか厳しい職人修行。間にNPO法人が入ってひきこもりの人のメンタルフォローなどを行ってくれることで自立可能となりました。今後もひきこもりが日本の文化財を支えられるようにNPO法人と連携して桧皮拵え師修行を受け入れていきたいです。
有限会社ひわだや
〒753-0036 山口県山口市円政寺町5-4
TEL:083-922-1651
HPはこちら